バレンタイン一週間前・・・
 
「由依おはよぉ〜☆」
「おっす!藍ちゃん♪今日も張り切って行こぉ!!!!」と由依の元気いっぱいな声。
こうしてまたいつも通りの1日が始まった。
藍ちゃんとは中学の時から仲良しでクラスは違うけど登下校はいつも一緒だ。
学校までは電車で30分、そこからさらに歩いて15分の所にある。
学校に通うまでの間いつも2人で楽しく恋バナや笑い話、愚痴など色んな話をしている。
 
「もうすぐバレンタインだねぇ!あたしマジ張り切るし♪星弥ってさぁ〜バスケ部でもキャプテンとして大活躍してるし、顔もいけてるし、勉強は苦手だけど、そこ以外ホント良くない?よしっ!今年は星弥にアタックっ!!」と朝からテンション高く楽しそうに話している由依を見て、藍子は「由依はさぁ〜ホント惚れやすいよね!ちゃんと先の事とか考えてる?付き合うっていうのは自分だけの事じゃないんだからもっと慎重にね。」とまた説教をした。
「でも〜今回は本物だもん!あたし絶対星弥にチョコあげるんだから☆」と張り切った顔で藍子に言い返すと、「よしっ!じゃあ私も応援するよ!」と賛成してくれた。
 
バレンタイン3日前・・・
 
今日は日曜日。
珍しく図書館にいる由依。
なぜならチョコレートレシピを調べるため!!!
藍子も総合の調べ学習があるといってついて来てくれた。
「藍ちゃん、あのね〜星弥ったらこの前の体育の授業で大活躍だったんだよ!」
「あぁ、体育バスケだっけ?」
「そうそう、何発も遠くからシュート決めてさぁ〜!マジやばいカッコ良いし★私のハートにシュート!!」と由依はバカな事を言いながら一人で盛り上がっていると、藍子は「じゃあ由依はチョコで星弥くんのハートにシュートだぁ!」とニコニコしながら言い返した。
 
バレンタイン2日前・・・
 
またいつもの電車の中での会話。
「もう2日前だねぇ〜頑張ってよぉ!」と隣に座っていた藍子はいつもの笑顔で由依の顔を下から覗いた。
「もっちろん!今年こそ成功させるぞ!!!あした気合入ってるから宜しく♪」と自信あり気に話し始めた。
「去年はさぁ〜マジ3日で別れたからね。あいつムカツクんだよ。由依は絶対悪くないんだよぉ!だって部活が忙しいとか言ってさぁ〜ホントに部活なの?女の子といたりして〜!!あ゛〜!!!」とさっきとは別人のように強張った表情で怒りをあらわにする由依。
それを藍子は「はいはい」と呆れながらも聞いあげている。
本当にいいコンビというか、バランスが取れているというか・・・
そんな事を話しているうちに2人は学校に着いた。
「じゃ〜また帰りね!」とそれぞれの教室へ向う。
 
バレンタイン前日・・・
 
「ごめん。待った?」
「いやいや余裕っスよぉ♪今日担任休みでさぁ〜帰りの会早かったんだ!ラッキー♪藍ちゃんのためならいつまでも待つよぉ〜★あは。」相変わらず明るい由依。
4階から下駄箱に降りていく途中、由依は急に足を止め真剣な眼差しで藍子を見つめた。
「由依・・・・?」急にどうしたのかと思い目を丸くして由依に尋ねる。
「実はさぁ〜チョコなんだけど・・・恥ずかしくて直接渡せそうにないから、今日机に入れちゃおうと思うんだ。」と話した。
藍子は首をかしげながら「本当にそれでいいの?」と心配そうな声で尋ねてきた。
「いいんだよ★ちゃんと手紙も書いたし!」と笑いながら由依は言った。
その手紙には「返事は明後日の放課後屋上で待ってます。由依。」と書いてある。
由依は緊張して「星弥」って宛名を書けないでいた。
そして2人は再び来た道を戻り、教室へと足を向けた。
教室はカーテンが夕日で染められていて、昼間からは考えられないくらい静で誰もいない教室。
ただの大きい部屋みたいだ。
「おぉ!緊張するなぁ〜!!」ドキドキしながら星弥の机に近寄り確かにチョコを入る由依。
そして由依は眠れないままバレンタイン当日を迎えた。

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