そしてついに迎えたバレンタイン当日・・・
「おっはぁ〜☆」と一睡もしてない由依だが元気に挨拶。
「由依元気すぎ!昨日寝てないんでしょ?あんたはホントすごいよ。」と苦笑いしている。
相変わらず対照的な2人。
でも本当は由依だって緊張していたし、ドキドキしていて一歩一歩がすごく重い。
「今日は早く待ち合わせてごめんね。気になっちゃってさぁ・・・」と朝早くから申し訳なさそうな顔をして謝った。
「いいよ〜いいよ〜!私も気になってたし♪」とニコッと藍子は笑った。
教室には朝練が終わって疲れはてた数人の男子と、朝から友達同士でチョコを交換して楽しんでいる女子の姿があった。
すでに星弥は教室におり、以前と何も変わらぬ様子でパンを頬張っていた。
彼は部活をやっているため朝は早く学校に来ている。
星弥は冬なのに半そで半パン・・・額には汗がにじんでいる。
「おっかし〜なぁ・・・?チョコ入れたのに全然目が合わないよぉ。まだ気づいてないのかな?まぁ星弥はモテるし、こういうの慣れてるのかな?結果は必ず聞けるし、まぁ気にしないで平気さ♪」と自分に言い聞かせる由依。
授業中もその事ばかりが頭によぎり集中できず、時々星弥を見ていた。
すると星弥の横で優がやけにニヤニヤしながら私に笑顔を送ってくる。
「優のやつなんだよぉ〜?もしやあいつチョコもらったなっ♪ヒッヒッヒ・・・」と自分なりにそう解釈して楽しんでいた。
そして今日は終わり、ついに返事をもらう日になった。
藍子には先に帰ってもらい一人で屋上までの階段を上った。
「こんなに階段ってあったっけぇ?マジ緊張する〜!」
屋上には真っ青で澄んだ青空が広がり空模様とは正反対に冬の冷たい風が体に突き刺さる。
由依は屋上への扉に寄りかかりながら星弥を待った。
「寒っー!早く来いよ・・・・。女を待たせるなんてよぉ・・・まったく!なぁ〜んてねっ。」と独り言のようにつぶやいていたその時・・・・
「トントントン・・・」だんだん大きくなる足音。
急に心臓の鼓動が早くなり胸が高鳴る。