海を渡って
遥かな空まで越えないと
触れる事が出来なくなってしまった君の手
僕が初めて君に好きだと言った時
我が子が初めて歩いたのを目にした母親のように
君はとても優しい目をして微笑んだ
まだまだ話したい事があったのに
盛り上がった会話の最中、充電切れでいきなり電源が切れた携帯電話みたいに
急に途切れていった赤い糸
許可もしてないし、前触れだってなかったけど
いきなり深い所に入って来た君は
いつしか自然と僕の全てになり
時には
ふいうちで心の深い所を打ち抜いていく
足はしっかり地に付けているのに
勝手に世界が周わっていくかのように
薬指のラインに残るはめていたリングの感覚は確かに辿れるけれど
すでに温かさは消えていて
今では冷 たい円を描くだけ
気付けば側にいた人間も変わってて
自分も読む雑誌が変わってた
今でもきっと近くにいるはずの君が
最近は勝手に頭の中でモノクロになっていく事が怖くて
僕はただただ怯えているんだ
影が重なっても君を感じる事は出来なくて
組んだ腕の中に君はいない
このどうしようもない感情は
とてもじゃないけど、ほんの数時間考えただけでは整理がつくような感じではなくて
時に僕の脳裏の全てを埋め尽くす
広い宇宙の中で
見慣れない星を探しては
君じゃないかって
その流れ星にぬくもりと香りをつけて
散らばせながら
僕に君の色をつけてくれと星を見上げる
結局
今も昔も君と僕は単体だけど
いつだって繋がっていたいんだ
いつしか
形のないものを求めるクセがついた僕は
もう向くはずのないハートの矢印を無理やりにでも動かそうとしていた
君の目線で見た僕は
きっと強い男だったけど
大人の男になって泣けなくなっていた当時の僕を
今は上から君は見下ろしているだろうか
懐かしのオルゴールを出して来て
メロディーと共にやってくる君に不器用に触れながら
君と見た景色を回想し
またいつか会えるという信念を掲げる
それはとても疲れるし
先が見えない事だけど
心の中ではハッキリと見えている
君との景色