「ママはどうして言いたいこと 言わないの?」
子供の頃の私はお人好しで自分のことは二の次だった母が嫌いでした

「大人になるってどういうこと?」
「言いたいことを考えてから口に出すことよ。」
誰かがそう教えてくれた

まるで今の自分が昔の母のようでおかしくなるな
自由を求めるほど自由は逃げて
子供の頃は目の前に広がる景色と見えるものが全てだったのに…
今は余計なものに振り回されている

「楽しければいい。」
あの子たちがよく使う言葉
そんな風にして一瞬一瞬の感情に託すのがこわくて 好きなものはずいぶんと減ったよ
作り笑顔なんて知らなかった昔は好きなものにひたすら真っ直ぐだった…
いつの間にか続けるということが難しくなってきている

周りを気にして 優しすぎる人になって
気づけば自分がなくなっていた
予定は急に変更されて
物は急に壊れて
大切にしていた君も守れなくて 大切にしていた人が離れていった

そんな状況で自分が初めて可哀想な人間だと思った
けっこう頑張ってきた…
けっこう苦しかった…
けっこう傷ついてきた…

自分も人も信じれなくなって
いつしかそれが普通になって
もっと時間が経ったら信じたくなくなって
このままがいいなんて流れ込んで
喜びと感謝をたくさんたくさんこぼしていたかもしれないね

絶望と孤独を繰り返しながら
それでも私が生きることをやめないのは
あなたという存在があって あなたを愛して
純粋に真っすぐに接していたいと思えるから

歩いている横を真っ白な蝶が飛んで
暑い日に自転車で駆け抜けて心地よい風を感じるようなしあわせ

私の話を表情で聞いて笑いながら 
黙っていたと思ったら泣きながら聞いてくれたあなた
少しずつ感じはじめました
少しずつ信じはじめました
ずっと感じていたいと思うから 生きていきます
そのまま ありのまま
それがあなたの好きな私で私が生きる理由

近づいてみて
この手を握る理由がある
囁いてみる
臆病で言えなかった想い
ふれてみて
感じるあなたを永遠と名づけてみよう

風にのった白い蝶