あたしは昔ここから見てた
この景色と追い越す人たち・・

泥だらけになりながら、頭を下げながら
いつしか這い上がってやろうと思ったよ



なのにどうして、今ここに立つ?


忘れていないのよ、痛みと悔しさ
だから突き落としては鼻で笑い、手を差し伸べずに横を過ぎる



「そんなの強くもカッコ良くもない!」と誰かは言う
すぐ隣で感じる 小さな囁き 強い眼差し
誰かが見てくる気がするの

見覚えがある顔。ちっちゃいあたし?

「泣いているの?」前よりずっと悲しそう・・


そのまま近寄ってきた小さな体

そっとあたしに寄り添って
つぶやいた

「人間のいらない弱さ、抱えてる」・・と。


あたしはこらえていたものをそっと下に落とした


天使